T 研究主題

自ら学び、「わかる」・「できる」喜びを味わうことのできる児童・生徒の育成

ICTを活用した指導法の研究を中心として(3年次)〜

U 主題設定の理由
(1) 社会の要請より

近年、高度情報通信社会への発展が急速に進み、学校・社会教育においてもIT革命の波が容赦なく押し寄せ、教育現場を取り巻く環境は変革期を迎えている。NHK等の放送局においても、学校放送番組がデジタル化され、双方向性や即時性などを持ったマルチメディア教材としての性格を一層強め、放送教育も新たな方向へと向かっている。文部科学省では、「分かる授業の実現と確かな学力の向上」・「情報活用能力の育成」・「教員の事務負担の軽減による子供と向き合う時間の確保」を3本の柱に教育の質の向上を図るために、学校のICT化のサポート体制の推進をしている。さらに、平成20年3月公示の小学校学習指導要領第1章総則には、教員がICTを活用して指導することについて、

 各教科等の指導に当たっては、児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにするための、学習活動を充実するとともに、これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

     同じく、中学校学習指導要領第1章総則にも、

各教科等の指導に当たっては、生徒が情報モラルを身につけ、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的、積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに、これらの情報手段に加え視聴覚教材や情報機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。

    と記述されている。

つまり、すべての教員が授業中に、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具を適切に活用することが求められている。また、「これらの教材・教具を有効、適切に活用するためには、教師はそれぞれ情報手段の特性を理解し、指導の効果を高める方法について絶えず研究すること」も求められている。

 教員がICTを活用した授業実践を行うことが、児童・生徒の学力に与える効果については、財団法人コンピュータ教育開発センターが行った調査結果によって示されており、算数(数学)・社会・理科の3教科いずれについても、ICTを活用した授業を行った児童・生徒のテスト結果が行わなかった児童・生徒のものと比較して優れている。≪小学校(算数+5.9点、社会+6.7点、理科+4.7点)、中学校(数学+5.8点、社会+10.5点、理科+7.4)≫したがって、ICTを活用した授業展開の工夫を行うことにより、より一層、児童の学力の向上が図れるものと思われる。佐賀県においても、教育の情報化により、「分かる授業」の実践や教職員の事務作業の効率化や軽減化による教育の質の向上を目指し、児童生徒に情報活用能力を身につけさせたり、学力の向上を図ったりすることを目指している。

今後、学校では、デジタルコンテンツの活用や個に応じた学習機能など、新たに付与された機能を有効活用していく方策を探ると共に、子どもたちに様々なメディアとそれを媒介とする多くの情報を取捨選択・加工し、発信するなどの情報活用能力を身に付けさせるための研究を進めていく必要がある。

(2) 本校の実態より

本校の児童・生徒は、離島の小規模校という制約の中で、少ない人間関係の中での交流にとどまる場面が多く、たくさんの人と意見を交わす機会が乏しい。また、外部の教育・文化機関等との連携についても、島外への移動が伴うため、これまでは、十分に行うことが難しかった。
 しかし、平成21年3月に、海底光ファイバーケーブルが加唐島・松島まで敷設されたのを機に、高速なインターネット接続回線や校内LANが導入された。同時に、教育用コンピュータも一新され、さまざまな場面で、コンピュータやインターネットを活用した授業実践が可能となった。
そこで、平成21年度から、≪自ら学び、「わかる」・「できる」喜びを味わうことのできる児童・生徒の育成〜ICTを活用した指導法の研究を中心として〜≫の研究主題のもと、5つの仮説を立て、ICTを活用した授業改善による学力向上を目指して検証を行ってきた。研究の当初は、ICTという聞き慣れない研究テーマに対し、二の足を踏んでいる教師が大半を占めていたが、徐々にICTを活用する利点である、即時性、双方向性、再現性、保存性に優れている点や教材研究の効率化に有効な点が理解されてきて、普段の授業の中にもICTを取り入れた学習指導を取り入れる場面が増えてきた。
 
1年次では、プロジェクタやデジタルコンテンツ等を活用した学習課題や資料の提示を行うことにより、児童・生徒に、よりはっきりと学習課題を意識して授業に取り組ませたり、教師の説明を理解させたりすることに有効であることが分かった。また、児童・生徒のプレゼンテーションソフトを使った情報発信は、文化祭の学習発表や、学校ホームページ上で公開され、評価を得ることができた。学習ソフトなどは、学習の振り返りに用いることで、児童・生徒の理解の定着を図ることができた。
 
2年次では、仮説を3つにしぼり、1年次の取り組みで見えてきた有効性を更に伸長していくとともに、課題であったテレビ会議システムを活用して、児童・生徒に交流の場を保障する実践について研究を深めてきた。具体的には、学識者からのアドバイスを受けるためにテレビ会議システムを活用した遠隔授業や、児童・生徒の集団との関わりや学び合いの機会を広げ、生活体験、社会体験を補う道具としてテレビ会議システムを活用し、他校(韓国を含む)や分校との交流等を実施した。このような取り組みを通して、少人数集団、特に離島でのテレビ会議システムの活用は、コミュニケーションや学習の場を広げるのに役立ち、児童生徒の関心を高め、学習の効果を高めるために非常に有効であることが見えてきた。
 
今年度は、本研究の最終年次として、これまでのICTの効果的な活用についてさらに深化・充実させるとともに、機器別の有効性についてまとめ、共有化を図っていきたい。
以上のような理由から、本研究主題を設定することにした。

V 研究の目標
各教科・領域において、児童・生徒が、課題を意識して学習に取り組み、理解を深めていくためのICT機器の活用の方法を探る。
W 研究の仮説
 

各教科・領域において、ICTを活用した授業を展開していく中で、以下の様な指導法の工夫・改善を行えば、児童・生徒がより「わかる」・「できる」指導が実現するであろう。
@導入の場面での事象や資料提示の仕方を工夫することで、課題を意識させる。
A児童・生徒が課題を解決するために、「より早く」・「より分かる」ための情報提供を行う。B  テレビ会議システムを用いた、本・分校間や他校・外部機関との交流による意見・情報交換の  場を設定する

X 研究の内容と方法
@  ICT機器を有効に活用した授業の充実と共有
A  情報教育計画(各教科での活用方法やリテラシー)の深化と整理
B  テレビ会議システムを用いた、本・分校間、他校・外部機関との交流学習の実施
C  研修会への参加
D  授業研究会の実施
E  講師招聘による研修会の開催
F  研究先進校の視察


平成21年度



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